仮想通貨市場において、「草コイン」と呼ばれる低価格で知名度の低いアルトコインへの投資が注目を集めています。
しかし、草コイン投資は本当に儲かるのでしょうか?
一攫千金を狙う投資家たちが草コインに群がる一方で、その多くが大きな損失を被っているのも事実です。
本記事では、草コイン投資のメカニズム、リスク、そして成功の可能性について詳しく解説します。
草コインとは何か?定義と特徴

草コインとは、主にビットコインやイーサリアムなどの主要暗号資産以外の、時価総額が小さく価格が低い暗号資産の総称です。
英語圏では「Shitcoin(シットコイン)」と呼ばれることもあり、日本では「草」が笑いを表すネットスラングから転じて「草コイン」と名付けられました。
草コインの主な特徴
草コインの特徴は大きく以下の4つです。
- 低価格性
- 高いボラティリティ
- 流動性の低さ
- 情報の不透明性
草コインの最も顕著な特徴は低価格である点で、多くの草コインは1円以下、場合によっては0.001円以下で取引されています。
そして草コインは価格変動が極めて激しく、一日で数十パーセント、時には数百パーセントの価格変動を見せます。
このボラティリティの高さが、投資家にとって大きな魅力であり、同時に最大のリスクでもあるといえるでしょう。
この低価格性により、少額の投資で大量の枚数を購入できるため、価格が少しでも上昇すれば大きな利益を得られる可能性があります。
そして、ボラティリティの高さに加えて、流動性の低さや情報の不透明性も大きなリスクです。
大きな売買注文が入ると価格が大きく変動しやすく、情報が不透明なのでプロジェクトの詳細や将来性について十分な情報が得られないことが多いです。
草コイン投資が注目される理由
草コイン投資が注目される理由は、なんといっても少額投資で大きなリターンを得られる爆発力があるからでしょう。
例えば、芝犬をモチーフにしたSHIBは2021年に数百倍以上の価格上昇を記録し、多くの投資家に巨額の利益をもたらしました。
一方で、株式投資は価格が10倍になればテンバガーと呼ばれ非常に優秀な投資成績ですし、投資信託は長期に渡って安定的に利益を増やす投資手法であり、どちらも草コイン投資に比べると爆発力に欠けます。
投資対象 | 期待リターン | 期間 |
草コイン | 数百倍以上 | 数ヶ月 |
株式投資 | 10倍 | 1年以上 |
投資信託 | 年率数% | 10年以上 |
このように、現状草コイン以上に短期間で大きな利益を出す金融投資は他にないといっていいでしょう。
草コインの高騰メカニズム

時折、草コインが高騰することがありますが、どのようなメカニズムによるものなのか考察します。
- ソーシャルメディアとコミュニティの影響力
- 市場構造
- 技術的要因
ソーシャルメディアとコミュニティの影響力
現在の草コイン市場において、価格形成に最も大きな影響を与えるのはソーシャルメディアとオンラインコミュニティです。
TwitterやReddit、Discordなどのプラットフォームで話題になった草コインは、短期間で爆発的な価格上昇を見せることがあります。
SNSで草コインが話題になる一番の要因として、著名な投資家やインフルエンサーによる特定の草コインについての言及が挙げられるでしょう。
例えば、イーロン・マスク氏のツイートがドージコインの価格に与えた影響はその典型例で、2021年にイーロン・マスク氏のツイートの影響もあり、短期間で数倍以上に急騰しました。
そして、価格高騰時に「乗り遅れたくない」というFOMO現象の心理が働き、価格上昇を見た投資家が次々と購入に走ることで、さらなる価格上昇を引き起こす循環が生まれます。
市場構造
草コインは時価総額が小さいため、比較的少額の資金流入でも価格が大きく変動します。
例えば数億円程度の購入でも、時価総額の小さい草コインであれば価格を数倍に押し上げることが可能です。
また、新しい取引所に上場することで、より多くの投資家がアクセス可能になり、需要が増加して価格上昇につながることがあります。
特に大手取引所への上場は、価格に大きなポジティブインパクトを与えるでしょう。
技術的要因
一部の草コインでは定期的にトークンを市場から除去する「バーン」という仕組みが導入されています。
バーンによって、供給量が減少して希少性が高まると、価格上昇の要因となることがあります。
草コインの暴落メカニズム

草コインは価格高騰を見せる一方で、暴落リスクも潜んでいます。
草コインが暴落するメカニズムは以下の3つです。
- 投機的バブルの崩壊
- プロジェクトの頓挫や詐欺の発覚
- 市場全体の下落トレンド
投機的バブルの崩壊
草コインの価格上昇の多くは、実際の価値や技術的進歩よりも投機的な期待に基づいています。
そのため、期待が現実と乖離していることが明らかになると、急激な価格下落が発生します。
また価格が大幅に上昇した後、早期投資家や開発チームが利益を確定するために大量売却を行うことがあり、供給が急増し価格が暴落しかねません。
さらに価格暴落が始まると、損失を恐れた投資家が我先にと売却を急ぐことで、さらなる価格下落を引き起こします。
この負の連鎖反応によって、しばしば価格が適正水準を大きく下回るレベルまで押し下げてしまうことがあるのです。
プロジェクトの頓挫や詐欺の発覚
これまで多くの草コインプロジェクトがありましたが、大多数のプロジェクトは技術的な問題や資金不足により開発が停滞します。
そして、ロードマップの遅れや目標の未達成が明らかになると、投資家の信頼が失われ価格が下落します。
また、開発チームが投資家から集めた資金を持ち逃げする詐欺行為(ラグプル)が横行しているのも実情です。
例えば、2021年にアメリカで登場した怪作ミームコインのSQUIDは、投資家が売ろうとしても売れない仕組みになっており、価格急騰後に創始者が持ち逃げをしてしまったのです。
このように、草コインに投資をする場合は、プロジェクト自体の信頼性についてよく調査をする必要があるでしょう。
市場全体の下落トレンド
一方で、プロジェクト自体に信頼性があっても、市場全体が下落トレンドにある場合は、草コインの価格も下落する可能性があります。
なぜなら、多くの草コインはビットコインの価格動向と強い相関関係を持っているため、ビットコインが下落すると草コインはさらに大きな下落を示すことが一般的だからです。
また、経済情勢の悪化や地政学的リスクの高まりにより、投資家がリスク資産から安全資産へと資金を移す際は草コインが真っ先に売却される傾向にあるため、草コインはさまざまなリスクの影響を受けやすいと言えます。
草コイン投資で失敗する原因

草コイン投資で失敗する原因は以下の3つです。
- 情報収集不足
- 過度な集中投資
- 感情的な投資判断
情報収集不足
「インフルエンサーがおすすめしていたから」「周りの友達が買っているから」という安易な考えで草コインに投資をするのは危険です。
投資に絶対はないので、その草コインをおすすめしたインフルエンサーに悪意がなくても価格が暴落する可能性は大いにあり、損失を被っても自己責任です。
草コインに投資をする場合は、公式からの情報を読み込み、財務や将来性について調査をした上で、投資をする必要があるでしょう。
過度な集中投資
一つの草コインに資産の大部分を投資して失敗するパターンもよくあります。
例えばビットコインの価値が今から0円になることは考えづらいですが、草コインがほぼ無価値になることはよくある話です。
集中投資をすると価格が高騰すれば大きな利益も得られますが、暴落リスクに備え余裕資金で行い、生活資金には手を出さないことが重要です。
感情的な投資判断
価格の急上昇をみて、「乗り遅れたくない」というFOMO現象の心理が働き高値を掴まされてしまうケースもあります。
逆に、損失を恐れて適切なタイミングで損切りできず、さらに大きな損失を被ることもあるでしょう。
実際私も、下落局面で売却をできずに塩漬け状態になってしまったこともあります。
感情的な投資判断をしないために、事前に投資金額・期間・目標利益・損切りラインなどを決めておくことが重要です。
まとめ|草コイン投資は価格高騰の可能性もあるがリスクも大きい
草コイン投資は、確かに大きなリターンを得る可能性を秘めていますが、同時に極めて高いリスクを伴うハイリスク投資です。
そのため、草コイン投資で成功するためには、十分な知識と経験、そして冷静な判断力が不可欠と言えます。
仮想通貨投資初心者がいきなり草コイン投資に挑戦するのはリスクがあるので、まずはBTCやETHなどの時価総額が高く安定感のある銘柄に投資をするのがいいでしょう。
そして、草コインに投資をする際は、「少額投資」・「入念な情報収集」・「感情を排除した投資」の3点を意識して投資してください。