
仮想通貨市場は年々安定感を増しており、特にビットコイン(BTC)のような時価総額の大きい通貨は、以前よりもボラティリティー(価格変動幅)が小さくなってきています。
そんな革新的で急成長を遂げている仮想通貨市場ですが、過去には極端な価格変動や突発的な暴落が頻繁に起こり、非常にリスクの高い投資先でした。
仮想通貨の将来性に早くから気付き早期参入していた投資家は多くの利益を得た一方で、歴史的な仮想通貨暴落によって巨額の損失を被った人も少なくありません。
本記事では、過去に起きた代表的な仮想通貨暴落事件を7事例紹介し、その暴落の原因とそこから学べる投資リスク管理の教訓を解説します。
今後、仮想通貨トレードをする上でリスク管理をしたい方は、本記事で過去の事例から対策を学びましょう。
過去の仮想通貨暴落事件7選
過去の仮想通貨暴落事件7選
- マウントゴックス事件(2014年)
- 仮想通貨バブル崩壊(2017年末〜2018年初頭)
- コインチェックNEM流出事件(2018年)
- テラ(LUNA)とUSTの崩壊(2022年)
- FTX破綻(2022年)
- セルシウスネットワークの破綻(2022年)
- ビットコイン半減期後の暴落(複数年にわたるパターン)
これまで、以上のような仮想通貨暴落事件がありました。
仮想通貨取引所のハッキングによる仮想通貨流出に伴う暴落や周期的な影響での暴落など、暴落といっても理由はさまざまです。
過去の事例を学ぶことで将来への対策を立てられるので、一緒に確認していきましょう。
1. マウントゴックス事件(2014年)
かつて世界最大のビットコイン取引所であった「Mt.Gox(マウントゴックス)」が、ハッキングにより約85万BTC(当時の価格で約470億円)を喪失しました。
この影響で取引所が破綻し多くのユーザーが資産を失い、ビットコイン(BTC)価格が暴落しました。
暴落の原因
- セキュリティ体制の不備
- 資産管理のずさんさ
- ハッキングによる信頼の崩壊
仮想通貨は2009年に誕生し、この事件が起こった2014年は現在に比べてセキュリティ体制の不備が多く、資産管理がずさんだったと言われています。
多くのビットコイン(BTC)が盗まれたことで、仮想通貨への信頼性が著しく低下して暴落へと繋がりました。
マウントゴックス事件から学べることは、セキュリティの重要性です。
これまでは、インターネットに接続されたウォレット(ホットウォレット)で管理していましたが、セキュリティ強化のためにインターネットに接続されていないウォレット(コールドウォレット)での管理が進みました。
皆さんが取引所等を選ぶ際は、コールドウォレットで管理している取引所を選びましょう。
2. 仮想通貨バブル崩壊(2017年末〜2018年初頭)
ビットコインは2017年末に20,000ドルを突破しましたが、2018年初頭から価格が急落し、1年で価格は3,000ドル台まで下落しました。
暴落の原因
- 投機的な買いが先行
- 規制強化のニュース(中国や韓国でのICO禁止など)
- 一部アルトコインの詐欺的プロジェクトが明るみに
2017年はビットコイン価格が大きく上昇したことで、投機的な買いが先行しました。
また中国などで仮想通貨の規制が発表されたり、アルトコインの詐欺プロジェクトが横行したりしたため、仮想通貨価格の暴落に繋がっています。
仮想通貨暴落は、過熱した投機によって生まれるバブルの反動として発生します。
この時期の仮想通貨暴落からは、市場の熱狂に流されず冷静な投資判断が必要という点を学べるでしょう。
3. コインチェックNEM流出事件(2018年)
日本の大手取引所である「コインチェック」から、約580億円分のNEMがハッキングにより盗まれた事件です。
この事件の影響で仮想通貨への信頼性が低下し、NEMが大暴落しました。
暴落の原因
- ホットウォレットで大量の仮想通貨を保管
- セキュリティ管理の甘さ
- 国内外での規制強化の動き
マウントゴックス事件から4年後ですが、またもや取引所のハッキング被害によって暴落が起きました 。
コインチェックをはじめとした中央集権型取引所(CEX)には、運営側の不手際という投資リスクが常につきまといます。
そのため、CEXで資産を管理する場合は分散投資が重要です。
また、CEXでのハッキングリスクを考慮するなら分散型取引所のDEXの使用もおすすめです。
4. テラ(LUNA)とUSTの崩壊(2022年)
2022年、ステーブルコイン「UST」と、それを支える仮想通貨「LUNA」が価格崩壊を起こし、数十億ドルの市場が消滅しました。
暴落の原因
- アルゴリズムによる価格維持の失敗
- 投資家の信頼喪失
- 一気に連鎖的売却が発生
USTは独自のプラットフォームで20%以上という高い利回りを提供していましたが、何らかの原因でベックが外れてUSTへの信頼が崩れました。
画期的だと思われていた仕組みでしたが、新たな取り組みは常に想定外のリスクが潜んでいます。
新たな取り組みに参加すると先行者利益を受けられる一方で、想定外のリスクも負担しないといけない点を知っておきましょう。
5. FTX破綻(2022年)
世界第2位の取引所といわれたFTXは、CEOであるサム・バンクマン=フリードが顧客資産を関連会社Alameda Researchに流用していたことが判明し、2022年に破綻しました。
この影響でビットコイン(BTC)は約20,000ドルから15,000ドル台へ下落しています。
暴落の原因
- 経営の不透明さ
- 内部統制の欠如
- 顧客資産と会社資産の混同
世界的取引所の経営の不透明さや内部統制の欠如は、仮想通貨市場への信頼を損ないました。
仮想通貨事件の中でもFTX破綻は特に衝撃的で、投資家は改めて「信頼できる管理体制」の重要性を認識しました。
皆さんが仮想通貨取引所を選ぶ際は、信頼だけではなく監査・報告の透明性も判断に含めるべきです。
6. セルシウスネットワークの破綻(2022年)
2022年、セルシウスネットワーク社が発行して運営していたセルシウス(CEL)が大暴落しました。
暴落の原因
- 高利回りを謳う無理なビジネスモデル
- 投資家への虚偽情報
- インフルエンサーの過度な広告
セルシウスは高金利での預け入れが魅力でしたが、無理なビジネスモデルだったと言わざるを得ません。
また、投資家へ虚偽の情報を流していたなど、誠実性に欠ける行動も見受けられました。
さらに、有名インフルエンサーの過度な持ち上げによって、市場が必要以上に加熱したという見方もされています。
本事件からは、高利回りの仮想通貨投資にはそれ相応の投資リスクが存在するという点を学べるでしょう。
また、多くのインフルエンサーがおすすめしているからといって、必ずしも有益なプロジェクトとは限らないことも覚えておくことをおすすめします。
7. ビットコイン半減期後の暴落(複数年にわたるパターン)
ビットコイン(BTC)は、マイニング報酬の半減(約4年ごと)をきっかけに価格上昇が期待できますが、その後には必ず暴落も経験するのが一つの流れです。
暴落の原因
- 半減期後の期待買いの終了
- 利確による売り圧力
- メディア報道の過熱→冷却のサイクル
近年は、過去のビットコイン(BTC)半減期の価格上昇が話題となり、普段以上の投資家が市場に参加してきます。
そのため、買い圧力が強まり価格も上昇していますが、利確による売り圧力の増加でビットコイン(BTC)価格は下落する傾向にあります。
またビットコイン(BTC)価格が上昇することでメディア報道も加熱しますが、報道が少なくなって関心が薄くなると価格が下落に転じる傾向です。
ビットコインの半減期は上昇トレンドの起点になりやすいですが、過去のパターンに依存した安易な投資は危険です。
マーケットサイクルを客観的に理解し、冷静に動くことが投資リスクを下げる鍵となります。
7つの事例から学べることの総括
上記で紹介した暴落事例から学べることは、投資リスクとどう向き合うかという点です。
仮想通貨暴落の歴史から見えてくるのは、「リターンの裏には常にリスクがある」という厳然たる事実です。
仮想通貨事件の多くは、以下のような共通点を持っています。
- 情報不足・リサーチ不足による盲目的な投資
- セキュリティやガバナンスの軽視
- 過度なレバレッジや投機的姿勢
これらを回避するためには、以下のような実践が必要です。
- 資産の分散(取引所・銘柄・ウォレットの多様化)
- 長期視点の投資戦略
- 情報収集と、冷静な判断力
- 取引所の財務状況や透明性を調べる癖をつける
以上のような思考を持って行動することで、仮想通貨の暴落に巻き込まれるリスクを減らし、巻き込まれたとしても被害を最小限に抑えられるでしょう。
まとめ:過去の失敗を未来の成功に
仮想通貨市場はまだ発展途上であり、今後も新たなプロジェクトや投資対象が登場するでしょう。
しかし、仮想通貨暴落の過去を知らずして未来を語ることはできません。
投資リスクを理解して学び続ける姿勢が、将来的な成功を手にするための第一歩となります。
仮想通貨暴落事件を教訓として次に活かすこと、それこそが賢い投資家への道です。