仮想通貨市場の成長で市場が活況を取り戻しつつあることを背景に、イールドファーミングの利回りが再び高水準に達しています。
従来の銀行預金や定期預金よりもはるかに高いリターンを期待できるイールドファーミングは、2020年に大きなブームとなり、現在は仮想通貨を運用する上でのポピュラーな選択肢の1つとして定着しています。
この記事では、イールドファーミングの基本的な仕組みから、そのメリット・デメリット、さらには2025年時点で利用できる主要なDEXプラットフォームまで、包括的に解説します。
イールドファーミングとは?

イールドファーミングとはDeFi(分散型金融)のプロトコルで、仮想通貨を貸し出すなどして報酬を得る行為のことです。
「イールド(Yield)」は「利回り」を、「ファーミング(Farming)」は「耕すこと・農業」を意味しており、まさに仮想通貨を「育てて収穫する」という投資手法を表現した言葉といえます。
ユーザーが仮想通貨をDeFiプロトコルの流動性プールに預け入れることで、取引手数料の一部やガバナンストークンなどの報酬を受け取れる仕組みです。
なお、イールドファーミングは「流動性マイニング」とも呼ばれることがあります。
流動性マイニングとは、DeFi(分散型金融)にて、仮想通貨を預けて流動性を提供することにより、ガバナンストークンを受け取ることです。
イールドファーミングと流動性マイニングはほぼ同義で使われることが多いですが、流動性マイニングは特にガバナンストークンを報酬として得る仕組みを指す場合があります。
イールドファーミングのメリット

イールドファーミングには、以下のようなメリットがあります。
- 利回りが高い
- 保有資産を有効活用できる
利回りが高い
イールドファーミングの最大の魅力は、従来の金融商品と比較して圧倒的に高い利回りを得られる可能性がある点です。
ステーブルコイン貸付の年利が数%〜10%台に達することもありますが、プラットフォームや市況によって大きく変動します。
預ける通貨によりますが、価格変動が大きい通貨の場合は、年間の利回りが100%を超えることもあります。
実際に、株式投資の平均利回りが2〜5%なのに対して、10%を超えるイールドファーミングの利回りは圧倒的に高いと言えるでしょう。
ただし、ほとんどのプロジェクトのAPY(年間利回り)は常に変動するので、1年後もその金利が保証されている訳ではないことを知っておいてください。
特に、100%超えの高APYは、一時的なものであるケースが多いことも理解しておく必要があります。
保有資産を有効活用できる
イールドファーミングのもう一つの大きなメリットは、長期で保有しようと思っていた仮想通貨を使いながら追加で利息や手数料報酬を得られることです。
そのため、「ただ持っているだけ」の状態から脱却し、積極的な資産運用が可能になります。
また、「もう少し積極的に運用したいけれど、取引のタイミングを計るトレードは自信がない」という投資家にとっても魅力的です。
なぜなら、複雑なトレーディング技術を身につけることなく、保有している仮想通貨から追加収益を得ることができるからです。
さらに、仮想通貨を預けたユーザーは、DEX(分散型取引所)が発行するガバナンストークンを獲得できます。
これらのガバナンストークンは、多く保有することでDEXの運営方針に自分の意見を反映できるなど、プラットフォームの意思決定に参加する権利も与えてくれます。
イールドファーミングの注意点

イールドファーミングには、メリットがある一方でデメリットも存在します。
- 価格が下落する可能性がある
- インパーマネントロスが起こる
価格が下落する可能性がある
イールドファーミングで最も注意すべきリスクの一つが、預け入れた仮想通貨の価格変動リスクです。
例えば、イールドファーミングで利益を得ても、得た利益以上に通貨価格が下落すると結果的に損をしてしまいます。
価格変動を完全に読み切ることは難易度が高いため、大きな変動損失を被ってしまう可能性は少なくありません。
特に価格変動の激しい仮想通貨を扱う場合は、価格変動リスクを十分に理解しておくことが重要です。
価格変動リスクへの対策として、仮想通貨の特性をよく調べ、変動幅のリスクを理解しておくことが大切です。
一般的に、ステーブルコインを用いたイールドファーミングでは価格変動リスクを抑えられますが、その分利回りも低くなる傾向にある点も知っておきましょう。
インパーマネントロスが起こる
イールドファーミング特有のリスクとして「インパーマネントロス」があります。
インパーマネントロスとは、流動性プールに預け入れた2つの仮想通貨の価格比が変動することで発生する一時的な損失のことです。
例えば、ETHとUSDCのペアでイールドファーミングを行っている場合、ETHの価格が大幅に上昇すると、AMM(自動マーケットメーカー)の仕組みによってETHが自動的に売却され、USDCに交換されてしまいます。
その結果、単純にETHを保有していた場合と比べて、値上がり益を十分に享受できなくなってしまうのです。
価格変動率 | 損失率 |
±0%(変動なし) | 0% |
1.25倍(+25%) | 約0.6% |
1.5倍(+50%) | 約2.0% |
2倍(+100%) | 約5.7% |
3倍(+200%) | 約13.4% |
4倍(+300%) | 約20.0% |
5倍(+400%) | 約25.5% |
上記の表のように、価格変動率が高くなると、損失率も大きくなってしまいます。
このリスクを軽減するには、価格変動の少ないステーブルコイン同士のペアを選択したり、価格相関の高い通貨ペアを選んだりするなどの工夫が必要です。
また、インパーマネントロスを上回る利回りが得られるかどうかを慎重に判断することも重要でしょう。
イールドファーミングできるDEXを紹介

Compound(コンパウンド)
Compoundは、2018年9月に生まれた歴史あるDeFiプロトコルであり、2020年に起きたDeFiブームの火付け役の1つでもあります。
イーサリアムブロックチェーン上に構築された代表的なレンディングプラットフォームで、中央管理者が存在せず、誰でも仮想通貨の貸し借りを行えるサービスです。
Compoundで仮想通貨を流動性プールに提供したユーザーは、利息収入とCOMPトークンの報酬が得られます。
Uniswap(ユニスワップ)
Uniswapは最も歴史の長いDEXの一つで、AMM(自動マーケットメーカー)モデルを最初に実装したプラットフォームです。
世界最大級のDEXで、流動性が非常に高いという特徴があります。
Uniswapでのイールドファーミングは、人気のペアなら手数料収入が安定しており魅力的です。
PancakeSwap(パンケーキスワップ)
PancakeSwapは、Uniswapをベースにしながらも、より低コストで高速な取引を実現したDEXです。
PancakeSwapでイールドファーミングを行うと、報酬として独自トークンのCAKEトークンが貰えます。
まとめ|イールドファーミングで資産を増やそう
イールドファーミングは、銀行の預金金利などよりも、はるかに高い利回りを期待できる魅力的な投資手法です。
保有する仮想通貨を使って、受動的に収益を得ようとするユーザーたちの間で人気を集めており、2025年現在でも多くの投資家に利用されています。
しかし、高いリターンには相応のリスクが伴うため、価格変動リスクやインパーマネントロスなどへのリスク管理の意識が重要です。
イールドファーミングを始める際は、まず信頼性の高いプラットフォームから始めることをおすすめします。
Compound、Uniswap、PancakeSwapなどの老舗プラットフォームは、長い運用実績と高い信頼性を持っており、初心者にも適しています。
最後に、イールドファーミングは投資であり、元本保証はありません。
余剰資金で始め、自分のリスク許容度に応じて運用規模を調整することが重要であり、安全性を重視し、信頼できる情報源から最新情報を得ることが成功の鍵となるでしょう。