近年、仮想通貨(暗号資産)の普及と共に注目を集めている「エアドロップ」。
新しいトークンの宣伝やプロジェクトの認知拡大を目的に、仮想通貨プロジェクトが無料でトークンを配布する手法ですが、その一方でエアドロップを装った詐欺が横行しています。
本記事では、エアドロップに潜む詐欺の実態や被害事例を詳しく解説し、安心して仮想通貨のエアドロップに参加するための具体的な対策方法をご紹介します。
エアドロップとは何か?

エアドロップとは、仮想通貨プロジェクトがプロモーションの一環として、特定の条件を満たしたユーザーに対して無料で仮想通貨トークンを配布する仕組みです。
エアドロップの主な目的
- 新規プロジェクトの認知拡大
- ユーザー獲得と分散化
- コミュニティ構築
新規で仮想通貨プロジェクトを立ち上げる場合、認知拡大とユーザー獲得がプロジェクト成功の鍵になるので、エアドロップを行います。
また、エアドロップによってコミュニティが形成され盛り上がりをみせると、第二・第三のユーザー獲得に繋がるのです。
ユーザーはSNSでプロジェクトの投稿をシェアしたり、公式チャンネルに参加したりすることでトークンを受け取る権利を得られます。
これまでに多くのエアドロップ事例があり、下記2例のように成功を収めた事例もありました。
正当なエアドロップの例
- Uniswap(UNI):初期ユーザーに対して数百ドル相当のトークンを無料配布
- Optimism:ネットワーク参加者に対する報酬としてエアドロップを実施
特に有名なエアドロップの成功例は「Uniswap」の事例で、分散型取引所(DEX)のUniswapは2020年にサービス利用者に400UNIをエアドロップし、この400UNIは2021年5月に1UNIあたり約44ドルに達し、最高で17,600ドル相当の価値になりました。
しかし、この「無料で仮想通貨がもらえる」という特性に目をつけた詐欺師たちによって、多くの偽装エアドロップが仕掛けられているのが現状です。
エアドロップ詐欺の3つの手口
仮想通貨のエアドロップ詐欺は、さまざまな形で仕掛けられますが、主に以下のような手口が一般的です。
- フィッシングサイトに誘導
- 偽トークン送付とトランザクション誘導
- ガス代(ネットワーク手数料)を請求
フィッシングサイトに誘導
正規のプロジェクトを装ったWebサイトやSNS投稿で、偽のエアドロップ申請ページへ誘導し、秘密鍵やウォレットのリカバリーフレーズを入力させようとします。
エアドロップ案件に限らず仮想通貨の世界ではフィッシング詐欺に要注意で、SNS等で「メタマスク」について呟くとメールアドレスなどを記載したリプライやDMが送られてくることがありますが、詐欺なのでクリック、または返信等をしてはいけません。
偽トークン送付とトランザクション誘導
詐欺師は「スキャムトークン」と呼ばれる偽のトークンをユーザーのウォレットに勝手に送りつけ、それを「換金する」ために怪しいサイトへアクセスするように誘導します。
偽トークン送付からトランザクション誘導の大まかな流れは以下のとおりです。
- 偽トークン(似た名前)をユーザーに勝手に送付
- 「このUSDTを有効化するにはこのサイトにアクセスしてください」といった内容の文言と一緒にURLも送付
- サイトにアクセスしてウォレット接続させる
- 資産が盗まれる
そのため、身に覚えのないメールやトークンが送られてきても、不用意にリアクションしてはいけません。
ガス代(ネットワーク手数料)を請求
「エアドロップを受け取るには手数料が必要」と称してETHやBNBなどを先に送金させ、トークンは送られずガス代のみ搾取するという手法です。
ガス代を騙し取られる手法は、上記の「偽トークン送付とトランザクション誘導」と同じですが、SNSやDMで偽エアドロップのメールを送付します。
流れによってはガス代だけではなく保有資産の多くも盗まれる可能性があるため、身に覚えのないDM等には注意してください。
実際にあったエアドロップ詐欺の被害事例

これまでに多くのエアドロップ詐欺事例があったので、以下で一部ご紹介します。
- メタマスクを狙った偽エアドロップ
- フェイクYouTubeライブ詐欺
メタマスクを狙った偽エアドロップ
2023年から2024年にかけてメタマスクを狙った偽エアドロップ事例が起きました。
- 詐欺師が「メタマスクが独自トークン$MASKを配布」と宣伝。
- 偽サイトにアクセスするとウォレット接続を要求され、トランザクションの承認を促される。
- 承認により、詐欺師にERC20トークンの無制限送金権限承認(approve)を与えてしまう。
※ERC20トークンの転送を許可する命令が送られてしまい、資産が抜かれる 。
被害者は後日、USDTやETHが抜き取られてしまいました。
メタマスクは初心者でも利用する機会があるため、特に注意が必要でしょう。
フェイクYouTubeライブ詐欺
YouTubeで著名人の偽ライブ動画を流し、「このリンクからエアドロップに参加できる」というリンクに誘導、偽サイトで秘密鍵を入力させるという典型的な詐欺が発生しました。
フェイクYouTubeライブ詐欺への対応としては、めんどくさいですがYouTube動画が公式アカウントによって発信されているのかを確認する必要があるでしょう。
安全にエアドロップに参加するための対策

エアドロップに興味がある場合でも、詐欺に遭わないためには以下のような対策が必須です。
- ウォレットの秘密鍵やリカバリーフレーズは絶対に入力しない
- 公式サイト・公式SNSを必ず確認
- 怪しいトークンは無視 or 非表示
- 小額用のサブウォレットを用意
正当なプロジェクトが秘密鍵やリカバリーフレーズを要求することは一切ないので、入力を促す時点で詐欺と断定して良いでしょう。
また、勝手に送られてきたトークンは触らず、ウォレット内で「非表示」に設定しましょう。
それらを移動したり売却しようとすることで、詐欺サイトに接続させられることがあります。
そして、エアドロップの案内が届いた場合は、必ずプロジェクトの公式Webサイトや公式SNSアカウントを自分で検索して確認しましょう。
リンクを鵜呑みにせず、Googleなどで公式情報を直接探す癖をつけてください。
さらに万が一のリスクに備えるなら、エアドロップ参加用のウォレットは本資産とは分けて管理しましょう。
分散管理が詐欺の被害を最小限に抑えられる手っ取り早い手段であり、仮想通貨の管理は自己責任という点を覚えておいてください。
エアドロップを安全に見つける方法
安全なエアドロップを探すには、信頼できるプラットフォームを活用することがポイントです。
信頼できるエアドロップ情報サイト
- CoinMarketCap Airdrop:審査されたプロジェクトのみ掲載
- Airdrops.io:スキャムを排除し、信頼性の高い情報を配信
- Projectの公式サイトやブログ:Twitter, Medium, Discordを通じて最新情報を入手
また、Redditのr/CryptoCurrencyなどで、実際に参加したユーザーの体験談を確認するのも一つの手です。
まとめ:エアドロップは魅力もあるが詐欺に要注意
仮想通貨のエアドロップは、新しいプロジェクトと出会うきっかけにもなり、うまく活用すればリターンも大きい可能性があります。
しかし、同時に詐欺の温床にもなっており、常に警戒心を持って行動することが大切です。
「無料」に飛びつくのではなく、「安全」を最優先した行動があなたの資産を守ります。
正しい知識と冷静な判断力が、仮想通貨を安全に楽しむための最大の武器です。