仮想通貨を使っていると、一度は「ガス代が高い!」と驚いた経験がある方も多いでしょう。
特にイーサリアム(Ethereum)などのブロックチェーンを利用していると、トランザクションを送るたびに「手数料=ガス代」が発生します。
本記事では、仮想通貨のガス代の仕組みを初心者にもわかりやすく解説し、節約術や注意点を詳しく紹介します。
これから仮想通貨取引やDApps(分散型アプリ)の利用を考えている方にとって、必読の内容なのでぜひ最後までご覧ください。
ガス代とは何か?
ガス代(Gas Fee)とは、ブロックチェーン上の取引を実行するために必要な手数料のことです。
特にイーサリアムでは、スマートコントラクトの実行やNFTの購入・送信など、ほぼすべてのアクションでガス代が必要です。
例えるなら「ガス代」は、車に乗って移動するためのガソリン代のようなもので、ブロックチェーンの“道路”を使って情報を送るのに必要な“燃料”です。
仮想通貨のネットワークはマイナーやバリデータによって維持されており、これらの人たちはネットワークの安全性を保ちつつ、トランザクションを承認しています。
その対価として受け取るのが「手数料=ガス代」で、ブロックチェーン上で行うすべての行動(送金、NFT購入、トークンスワップなど)にはガス代がかかるとお考えください。
ガス代が高くなる理由
ガス代が高騰する主な原因は、以下の3つです。
- ネットワークの混雑
- 複雑なスマートコントラクトの処理
- イーサリアム(ETH)やトークンの価格上昇
多くの人が同時にトランザクションを送信すると、処理待ちが発生します。
このとき、早く処理してほしいユーザーはガス価格を高く設定することで優先されます。
また、単純な送金よりもNFTの発行やDeFi取引など、処理が複雑な操作はガス使用量が増えるでしょう。
さらに、イーサリアムなどのトークン価格が高くなると、実質的な費用(円換算)は増加します。
ガス代を節約する5つの方法
- 混雑を避けた時間帯にトランザクションを送る
- レイヤー2チェーンを活用する
- ガス代の安いトークンを利用する
- ガス代がかからない取引所を利用する
- バッチ処理やまとめて送金を活用する
ガス代は時間帯によって変化するので、トランザクションを送る前に時間帯別のガス代を調べて操作するのがおすすめです。
また、通常のブロックチェーンではなくレイヤー2チェーンを利用すると大きくガス代を減らせる可能性があります。
さらに、ガス代が安いトークンに交換したり、ガス代がかからない仮想通貨取引所を利用したりすることでガス代を節約できるでしょう。
混雑を避けた時間帯にトランザクションを送る
ネットワークが空いている時間(日本時間の深夜など)を狙えば、ガス価格を抑えられます。
イーサリアム(ETH)の時間帯別のガス代を、以下の表でまとめました。
時間帯 | 混雑状況 | ガス代 |
1時〜5時 | 空いている | 約200円〜500円 |
6時〜9時 | 徐々に増加 | 約500円〜1,000円 |
12時〜15時 | やや高い | 約800円〜2,000円 |
18時〜22時 | 最も混雑 | 約2,000円〜5,000円以上 |
23時〜1時 | 徐々に緩和 | 約1,000円 |
※ガス代はETH価格やネットワーク混雑状況により常に変動します。上記は目安としてご参照ください。
以上の表のように、日本時間の深夜にトランザクションを送ればガス代が安く済みますが、夕方から夜にかけては最もガス代が高くなり、時間帯によってはガス代が10倍程度違うこともあります。
また、ガス代が安いタイミングを知りたいなら、ツールを使って事前にガス代をチェックするという方法もおすすめです。
「Etherscan Gas Tracker」というツールでイーサリアム(ETH)のガス代をチェックできるので、ご活用ください。
レイヤー2チェーンを活用する
ガス代が高いと感じる場合は、レイヤー2チェーンの活用もおすすめです。
レイヤー2チェーンとは、メインブロックチェーン(レイヤー1)の処理を一部肩代わりする補助的なネットワークのことで、レイヤー2チェーンを利用すると手数料を数十分の一以下に抑えられます。
以下で、イーサリアム(ETH)を通常通り送金した場合とArbitrumやOptimismなどのレイヤー2チェーンを利用した場合の差をまとめました。
操作内容 | イーサリアム本体 | レイヤー2チェーン |
ETH送金 | 約400円〜1,000円 | 10円〜30円程度 |
トークンスワップ | 数千円 | 数十円程度 |
以上のように、レイヤー2チェーンを使うとガス代の大幅な削減に成功できます。
ただし、トークンによっては不安定なレイヤー2チェーンもあるので、安全面を考慮しながらどちらを使用するか検討してください。
ガス代が安いトークンを利用する
ガス代はトークンによっては大きく差があるので、なるべくガス代が安いトークンで処理をするのがおすすめです。
ブロックチェーン | 通貨 | ガス代 |
Bitcoin | ビットコイン(BTC) | 約千円 |
Ethereum | イーサリアム(ETH) | 数百円 |
XRP Ledger | リップル(XRP) | 数円 |
Solana | ソラナ(SOL) | 数円 |
Polygon | ポリゴン(MATIC) | 数円 |
BNB Smart Chain | ビルドアンドビルド(BNB) | 数十円 |
このように、トークンによってガス代が大きく異なり、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)はガス代が高いです。
実際私は、ガス代についての知識がなかったときに、ガス代が高いビットコイン(BTC)で送金をしてしまい、高額のガス代を支払った過去があります。
そのため、仮想通貨の送金などをする前にガス代の安い通貨への交換がおすすめです。
ガス代がかからない取引所を利用する
取引所によっては仮想通貨を送金する際にガス代が無料の取引所もあります。
例えば、国内仮想通貨取引所の「GMOコイン」は送金手数料(ガス代)が無料なので、トークンを送金する際にわざわざガス代の安い通貨に交換する手間が省けます。
手数料は積み重ねるとバカにならない額になるので、仮想通貨取引をする際は手数料(ガス代)を意識してみてください。
バッチ処理やまとめて送金を活用
複数のトークンやNFTを一度に送る「バッチ送金」機能がある場合は、1回分のガス代で済みます。
複数回の送金は手間がかかりますし、1回1回ガス代がかかるのでガス代負担が増大します。
ただしまとめて送る場合、送金ミスが起こると全ての資産を失う可能性があるので、リスクヘッジをかけて複数回に分けて送金処理を行うという選択肢もありでしょう。
仮想通貨のガス代に関してよくある質問
最後に、仮想通貨のガス代に関してよく寄せられる質問に回答していきます。
- ウォレットを接続するだけでもガス代はかかるの?
- ガス代が高すぎて操作が失敗したらどうなる?
- メタマスクなどで「ガス代を手動設定」するのは危険?
Q1. ウォレットを接続するだけでもガス代はかかるの?
A:いいえ、ウォレットの接続自体ではガス代はかかりません。
あくまで「実際の取引や操作」を行った時にのみガス代が発生します。
Q2. ガス代が高すぎて操作が失敗したらどうなる?
A:処理が失敗した場合でもガス代は戻ってこない可能性が高いです。
そのため、設定ミスに注意しましょう。
Q3. Metamaskなどで「ガス代を手動設定」するのは危険?
A:ガス代を低く設定しすぎると、トランザクションが承認されずに「Pending(保留)」状態のまま止まるリスクがあります。
そのため、慣れるまでは自動設定がおすすめです。
まとめ:ガス代を理解して効率よく仮想通貨取引をしよう
仮想通貨の世界では、「ガス代」は切っても切れない重要な存在です。
特にイーサリアム系のサービスを利用する場合には、ガス代の知識がコストを大きく左右します。
今回紹介したポイントを押さえておけば、無駄な手数料を抑え、より効率的に仮想通貨を活用できるでしょう。